お題:遠征


高2の夏休みに部活で遠征に行ったことがあります。


柔道部だったんですが、顧問の竹岡先生が道北の高校に転任して、
そこでも柔道部の顧問をやっているというのが縁で、
2泊3日の合宿に行きました。


柔道ではまったく無名の進学校ということで、
行く前はナメていたんですが、強かったです。
女子部員とか、もうその響きだけで一本負けです。


こちとら、むさくるしい男子校。もちろん20人全員男子の柔道部。
実際、柔道場の匂いは違いました。比喩表現やなしに。


もともとの指導者が同じということで、練習メニューはまったく同じで、
飛んだり跳ねたり、這ったり廻ったり。
で、いよいよ組手。


あの苦しかった減量が報われました。


今回遠征で来たメンバーの中で唯一の軽量級が私だったんです。
しかも一応全国レベルなので、それなりに加減とかできるし、
なにより部長だし、顧問の信頼も厚く、西川なら大丈夫だろうとのこと。


他の部員の何か言いたげな視線を感じながら組手の練習が始まりました。


いや、何もしてないですよ。
寝技ならまだしも立ち稽古だけですから。
実際、襟とかも触っちゃいそうだから奥襟しか掴めなかったし、
投げるときもなるべく身体が密着しないようにフワッとです。


そんな感じで何事もなく練習終了。
宿泊は旧校舎を改築したという合宿用の宿泊施設。
遠征で来たウチの部員の他にも、明日は早くから練習があるので
通学に時間がかかる地元高校の部員も数名が泊まりました。


柔道部員っていうのは基本、格闘技バカの集まりですから、
大部屋に布団が並べてあるっていうのは、
誰かがゴングを鳴らすわけでもなく、いきなりプロレスごっこが始まります。
そんな格闘場を抜け出し私が向かったのは、園。
昼間の紳士的な対応ですっかり女子部員に信頼されていた私は、
女子部員が泊まる部屋にお呼ばれされていたんです。


いや、何もしてないですよ。
1対1ならまだしも泊まりの女子は3人いましたから。


3人のうち1人は新垣結衣似で、なまらめんこく、
柔道をやっているとは思えない華奢なコでした。
他の2人は偶然とは思えないほどの、
南海キャンディーズしずちゃん似と、やまちゃん似。


まぁお菓子食べながら南キャンのトークを聞いてるって感じで
時間が経過していったんですが、1時間ぐらいしたとき、
ジュースが無くなって南キャンの2人が買いに出て行きました。


残されたのは聞き役にまわっていた私と新垣結衣似のコ。
お互い話すのは得意ではないらしく、静寂。
かなり気まずい静寂。


いや、何もしてないですよ。
お酒入ってるならまだしも健全な高校生ですから。


しばらくすると南キャンの2人が戻ってきました。
近くのコンビニの店名が入っているレジ袋から
次々と出てくるお菓子、ジュース、缶チューハイ


缶チューハイ!?


本当に真面目な柔道少年だった私はお酒を飲んだことがありませんでした。
しかし女子を目の前にかっこつけたかった私は、
さも当たり前のように缶チューハイをグビグビいきました。


もちろん初アルコールで自分を保てるわけもなく、
気付いたときには朝。
バッチシ朝練も遅刻して、二日酔いのなか校庭10周をさせられました。


ちなみにあの3人の女子は体調不良を理由に休んでいて、
2日目の夜は泊まりの女子はゼロ。
さらに最終日も3人は休みで、結局会えずに合宿は終わってしまいました。



それから数ヵ月後。
高体連の全道大会で南海キャンのしずちゃん似のほうが、
あの高校から唯一勝ち進んで全道大会に来ていました。
その時にあの夜のことを教えてもらいました。


あの夜、お酒を飲んでから朝起きるまでの空白の記憶。


初アルコールですっかり酔っ払った私は、
新垣結衣似のコに色々ちょっかいを出していたそうです。
それに耐えかねたガッキーは、宴会の終了を賭けて、
私を柔道で勝負することになったそうなんです。
まぁ酔っ払って足もとフラフラの私を見て勝てると思ったんでしょう。
しかし酔っ払っても全国5位。相手にならなかったそうです。
しかも逆四方固めで寝技を決めると私は顔をガッキーの股間にぐりぐり。
そしてガッキーの顔には私の股間をぐりぐり。
たまらずガッキーは他の女子2人に助けを求めたらしいんですが、
その2人もすっかり出来上がっていて、イケイケ状態。
助けるどころか私のズボンとパンツを脱がして大爆笑。
私は嫌がるガッキーの口にムリヤリ押し込んで
無我夢中で腰を振っていたそうです。


翌日、翌々日とガッキーが部活を休んだのは、
体調不良ではなく、単に私と会うのが恐かったからだそうです。


悪いことしちゃったな。